概要
「ツイッター (Twitter)」に投稿された発言から,「感染性胃腸炎 (Infectious Gastroenteritis; IG)」に罹患した利用者によるものと思われる発言を抽出して解析することで,都道府県ごとの推定患者数を表示するシステムを開発しました. ソーシャル・コンピューティング研究室ではこのシステムを「つぶやきくんIG」と名付け,一般公開しています.
技術的な特徴
利用者の位置を推定
Twitter での発言時にGPS により付与された位置情報や,プロフィール欄に記載されている場所情報などから,利用者の位置を都道府県単位で特定しています.
自然言語処理技術を応用し陽性発言を抽出
本研究室が開発した自然言語理処理技術と機械学習により,「感染性胃腸炎」に関連する症状について言及している発言のうち,実際にその症状に罹患していると思われる利用者の発言(陽性の発言)のみを抽出し,集計しています.
詳細な分析に基づく感染症流行の実態を反映
群馬県庁衛生環境研究所の報告による「感染性胃腸炎」の患者数と各症状の陽性の発言数を線形回帰し,正の相関が高かった3つの症状(「悪心」「下痢」「寒気」)を特定し,さらにそれらに重み付け処理を実施しています.
実績
流行を感知できた事例
■2017年2月19日:東京都で発生したノロウイルスによる感染性胃腸炎
■2017年7月16日:奈良県で発生したノロウイルスによる感染性胃腸炎
■2017年11月11日:奈良県で発生したノロウイルスによる感染性胃腸炎
流行を感知できなかった事例
■2017年6月23日:熊本県で発生したノロウイルスによる感染性胃腸炎
■2017年9月29日:愛知県で発生したサルモネラ属菌による感染性胃腸炎
■2017年11月10日:栃木県で発生したノロウイルスによる感染性胃腸炎
■2017年12月08日:千葉県で発生したノロウイルスによる感染性胃腸炎
■2017年12月16日:静岡県で発生したノロウイルスによる感染性胃腸炎
■2018年1月24日:長野県で発生したノロウイルスによる感染性胃腸炎
支援事業
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED),2016年〜2019年,「迅速・網羅的病原体ゲノム解析法の開発及び感染症危機管理体制の構築に資する研究 」(研究代表者:黒田誠,研究分担者:荒牧英治)
関連事業
厚生労働科学研究費補助金(MHLW),2017年〜2019年,「小児領域の医薬品の適正使用推進のための人工知能を用いた医療情報データベースの利活用に関する研究」(研究代表者:栗山猛,研究分担者:荒牧英治)
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED),2016年〜2017年,「人工知能による総合診療診断支援システムの開発」(研究代表者:永井良三,研究分担者:荒牧英治)
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED),2016年〜2019年,「医用知能情報システム基盤の研究開発」(研究代表者:大江和彦,研究分担者:荒牧英治)
謝辞
本研究は,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED),2016年〜2018年,医薬品等規制調和・評価研究事業 「患者の自覚症状により副作用の早期発見を可能とする方策に関する研究」(研究代表者:望月眞弓,研究分担者:荒牧英治,若宮翔子)により実施されました.
プライバシーポリシー
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免責事項
成果物は,可能な限り細心の注意を払って開発しました. しかし,完全な信頼性や堅牢性を保証しているわけではありません. 結果的に本アプリ及びデータを使用して何らかの問題が発生した場合, 提供元である本研究室は一切の責任を負いかねます. ご使用になる場合には自己責任でご活用いただくようお願いいたします.